あらすじと金融テクのポイント
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1巻
勤め先の工場が倒産した灰原達之は、帝国金融に就職し、街金の世界に飛び込みます。
とても直球の物語の始まりです。
初出勤の日の電話営業で早くも客を引き当て、この世界での運を示します。
最初の話はこの客である建設会社が不渡りを出し、連帯保証人である経営者の娘を追い込んで回収するまでです。
- 連帯保証人の責任がどれだけ重いか?
- つづりの融通手形による分割返済という街金の融資の方法
- 法務局での登記情報の調べ方
- 金融屋が毎日チェックする不渡り情報の専門日刊情報誌
- 連帯保証人からの回収の手法
上記のようなことが学べて興味深いです。
灰原は娘を自己破産させてせめてもの救済を行った後、この非情な世界を突き進む決意を固めます。
次のお話は、不動産屋の取り込み詐欺に報復するストーリーです。
行き詰まった不動産屋の社長・林田が、登記簿を不正に書き換えて帝国金融から融資を受けます。
他人の土地を一時的に自分の名義にして、担保に差し出したのです。
法務局のファイルからページを差し換えて、その後もとに戻すというようなアナログな方法が通用した時代がしのばれます。
林田は帝国金融から借りた金を持って夜逃げしますが、プロの街金はあの手この手で潜伏先を突き止め、回収にかかります。
昔の話なので、今は使えないテクニックもあるかもしれませんが、やはりその工夫ぶりは見ものです。
2巻
スナック経営の川田京子が社会保険事務所勤務の清水好美を連帯保証人に立てて借り入れた直後に飛びます。
灰原は問題解決を一任され、試されます。彼は清水の追い込みにかかります。
公正証書を組んで持ち家を抑えにかかる手法、スナックの保証金からも回収する手法など、勉強になります。
さらに清水に社会保険料を滞納している企業のリストを提供するアルバイトをさせ、新規開拓に活用します。
そうして引っかかってきた客が呉服屋の古井。市会議員もやっている男でした。
保証人として市役所財務課長の猫田を連れてきました。
古井は猫田の出世を支援してきたので、断れない関係なのです。
しかし、今回の選挙は敗戦の色が濃く、安全策としてもう一人保証人を取ろうとします。
手法は騙して手形に裏書させるというものです。
ここでも手形裏書という普通の人になじみのないものの恐さが勉強できます。
古井の落選が確定すると、帝国金融社員は身柄確保に動きます。
呉服店の占有、おしかけてきた別の金融屋を追い返すやり方なども見ごたえがありました。
「こんなことをしてくるんだなあ」と、本当に勉強になる一冊です。
3巻
灰原は先輩の桑田と市役所に追い込みに行きます。
しかし、呉服店に債権者が押しかけて大変なことになっており、桑田が応援に呼ばれて、灰原は単独で対応せざるを得なくなります。
いったんはやりこめられるのですが、選挙前での公金でのスナック豪遊のことを持ち出して逆転するのはさすがです。
呉服店前では、帝国金融の社長が堂々の貫録で、競売では抵当順位の低い債権者には一銭も回ってこないことを説明し、素人衆の債権の買い取りにかかります。
ライバルのカスリ金融もうまく丸め込み、その隙に店内の金目の物品をすべて持ち去ります。
灰原は一人で猫田と甲守の自宅に抵当権を設定し、二人は議員接待のカラ伝票で公金から返済する絵を描いてきます。
次の客はキケン運輸。
赤名社長は独立したかつての従業員・背口を保証人にして借り入れを申し込んできます。
背口は若いのに勤勉で社業を伸ばしているので、灰原は貸したいと考えます。
しかし、上司からは事業拡大の際の運転資金の増大などについて鋭くつっこまれます。
金貸しが事業家をどう見るのかについて、とても勉強になるシーンです。
貸し出しはOKになりますが、まもなく赤名は飛び、背口は尻ぬぐいをせざるを得なくなります。
上司は妹と恋人を連帯保証人に取り、金貸しの厳しさを教えます。
まじめに返済を続けていた背口ですが、大けがをしてしばらく仕事ができなくなります。
帝国金融は背口の恋人・三宅をソープに沈めて回収します。
どんなまじめな人でも返済不能に陥る事故は起こり得るのであり、プロの金貸しはそんな場合にも回収できるようにしておかねばならない。
金融業の、ひいては世の中におけるお金の厳しさを教えてくれる一話だと感じました。
4巻
三宅の件で灰原は会社をやめたくなりますが、結局は続けます。
完済するまでソープをやめないよう監視するのも灰原の仕事です。
さて、また新しい客です。結婚式の受付をしていて祝儀を全部盗まれた泥沼亀之助です。
ここでは新幹線のチケットを買って金券屋で換金する手法が出てきます。
灰原は小耳にはさんだダイヤルQ2を使って、NTT経由で回収をするアイデアを思いつきます。
帝国金融は顧客の休眠会社・薄利印刷を使ってその会社を作ります。
泥沼の方はもとは優良会社のまじめな社員で借金もなかったのに、ずるずると債務地獄にはまっていきます。
会社を辞め、さらには自分で思いついた犯罪にのめりこんでいきます。
平凡に幸福に暮らしていた人間がひょんなきっかけで地獄に落ちていく見本のような人生です。
Q2の方も頓挫し、帝国金融は薄利印刷社長に金をつかませて夜逃げさせる算段をします。
世の儚さを痛感させられる一冊でした。
5巻
灰原は薄井社長の夜逃げの手伝いをし、辞退する彼に1000万円を手渡します。
一方、泥亀はカードを使った取り込み詐欺にのめりこんでいきます。
帝国金融には吉村という新人が入ってきます。
妻子ありで司法書士志望、週3日のパートなのですが、この人が後からなかなか面白くなってきます。
さて、灰原は偶然に風俗ビルの建設に反対する市民運動に出くわし、金の臭いをかぎつけます。
地上げ屋と市民運動の両方から情報を得てうまく立ち回れとの指示を社長から受けます。
地上げ屋の肉欲棒太郎は小さな土地をまとめて合筆して価値を上げ、売ることを狙っています。
ピンクビルはつなぎです。
その収入を当てにして帝国金融に5000万円のつなぎ融資を申し込みながら、北新地で豪遊です。
この融資は断るのですが、肉欲を困らせてビルを二束三文で手に入れる計画が持ち上がります。
近隣に病院があると風俗は開業許可が下りません。
これを市民運動側に吹き込んで邪魔をさせようというのです。
同様の話は「ミナミの帝王」でも読んだことがあります。
灰原と肉欲の会話では、総量規制とか、バブル崩壊後の銀行とノンバンクの関係とかが出てきて、とても勉強になります。
結局、肉欲はビルの全フロアに賃借権を打たせ、代物弁済予約までつけさせて2,500万円で妥協します。
その一方で、灰原は警察の防犯係長にお願いして、医師に協力するよう説得してもらいます。
ピンクビルのテナントは集まりだしていましたが、裏手に医院開業予定のニュースを聞いて怒り心頭です。
肉欲はみごと灰原にハメられたのです。
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